2019年10月27日日曜日

市川海老蔵・黒木瞳「オイディプス」の感想

相変わらず、偏った感想であり、ネタバレです。







設定。
現代に置き換えるのいい、除染をイメージさせるのも俺の好みじゃないけどいい、オイディプスの服がスーツにネクタイ&ポケットチーフも、民衆の服が現代風なのも、殺し方が拳銃なのもいい。変わっていい。
だったら、政治体制も変えろよ!暴君に盲目的敬愛を示す民衆ばかり、いま必要なのは革命でしょ。

自動車が走り、拳銃で殺しあう時代設定なのに、疫病退治法が神託、ラノベか!


オイディプス。
昔は町を救った英雄だったが、今では怒りっぽくて威張り散らしている権力者。苦痛のどん底にいるとき、周囲に当たり散らすのは分かるんだが、マズいなぁ。




イオカステ。
自分の産んだ子を殺す決意をするが、出来なくて羊飼いにやらせる。殺す見返りに城での仕事を与えると唆す。悪女か!



羊飼い。
赤ん坊を殺すことを引き受けたもののできず、他の羊飼いに渡す。殺したふりをして城で20年も働き王様の運転手まで昇り詰める。嘘つきめ!



ライオス。
暴走車が突っ込んできて事故になりこちら側に死者が出た。しかし、いきなり相手に発砲はないだろう。王であればこそ法に従え。



と、まぁ、偏ったけど、役者って凄い人たちだね。どんな練習をしているんだろう。
表現者、アーティストは尊敬してる、とくに演劇を志す人って凄いなと思ってる。






悲劇。
さっき妻に「親子で殺しあうのって悲劇?普通の日常じゃないの?」と聞いたら「親子で殺しあうのは悲劇でしょ、当然」と返ってきた。なるほど。
そうか、悲劇なんだな。なるほどねぇ、当たり前に悲劇だ。
普通の日常と思う事自体も悲劇かもね。
 
これは願望に過ぎないのかもしれない。
誰にも悲劇は起きるし起きる可能性があるけど、救済も必ず来る。それも生きている間に救済が来る。闇が生じたら光は生まれる。 





救済。
劇の終盤。オイディプスは老いた予言者から渡された杖をついて、シェルターを出ていこうとする。
引き留める民はいない。彼の子供の二人の少女の泣き声と「行かないで」という叫び声が響く。父親の傍に行きたがる少女たちを抱きしめて引き止める大人たち。

少女の一人が大人たちの手を振りほどき、オイディプスを追いシェルターの外へ飛び出す。大きく重そうな鉄の扉が閉まる。
暗転。
救済の徴と感じました。

その後の彼については色々な説があるようだけど、長年の放浪後に、故郷から遠く離れた国で娘と静かに暮らしたという話が大好きです。






こんなことをダラダラ書いていたら、65歳最後の日になりました。
「ありがとうございます」
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